【論壇】求められる収支簿記の整備と普及

佐藤倫正
(さとう・みちまさ 愛知学院大学客員教授)
名古屋大学名誉教授。博士(商学・一橋大学)。(公社)非営利法人研究学会常任理事。元アジア会計学会会長。著書に『資金会計論』白桃書房、1993年。訳書に『アンソニー財務会計論』白桃書房、1989年。編著に『ズバッ!とわかる会計学』同文舘出版、2014年など。 西洋で発達した複式簿記は「貸借簿記」という特徴をもつ。主語(誰が)と相手方(誰に)を明確にする言語構造とつながるのだろうか、それは出資者(商人)の立場からの、債権(借方)と債務(貸方)の記録をベースに発展した複式簿記である。収支計算書を貸借対照表と損益計算書の背後に隠してしまう傾向がある。また、出資者の利益を最大化しようとする会計の「資本主説」と結びつく。つまり、リスクをとって事業拡大をめざす企業には好都合だが、過度の利益追求を誘発し、金銭に関わ
                           

この記事は有料会員限定です。

Copy Protected by Tech Tips's CopyProtect Wordpress Blogs.