【非営利組織のファンドレイジング戦略】第33回 ファンドレイジングによる寄附の 社会的効果(前編)

堀田和宏
(近畿大学名誉教授)
 ファンドレイジングは非営利組織の直接の資金調達手段であるだけではなく、同時に寄附を通してある重要な社会的外部効果をもたらす。とりわけ、寄附がもっぱら善意の人や会社の慈善行為であったときから、今日のように非営利組織が確信的なファンドレイジング戦略を展開して寄附が組織化・恒常化・普遍化してくれば、ファンドレイジングが形成する寄附市場や寄附文化は社会に対して何をどれだけどのように貢献するのかを知ることが政治・社会・経済の政策課題の前提として重要となってくる。

Ⅰ ファンドレイジングの情報伝達の役割

 どこかに寄附をしようとする人が、寄附先の非営利組織の活動状況や業績は本当に良いのかどうかを見極めることはできるが、それにはかなりのコストが掛かる。ある組織に寄附をした人や寄
                           

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