1.はじめに

 本アンケートは、会員法人における組織内研修の実施状況や関心事項を把握し、今後の情報提供や支援の参考とすることを目的として実施しました。ご協力いただいた法人の皆さまには、回答への御礼として、本速報レポートをお届けいたします。同様の立場にある他法人の傾向や取組状況を知る一助として、ご活用いただければ幸いです。ご多忙の折、調査にご協力くださった皆さまに心より御礼申し上げます。

2.調査概要

 調査は、弊会の会員法人およびサービス登録法人を対象として、2025年4月から5月にかけてWebフォームにて実施しました。有効回答数は98法人です。設問は、以下のような項目を中心に構成し、法人における研修実施の実態と今後のニーズを把握することを目的としました。

  • 研修の実施頻度、対象者、形式
  • 関心のあるテーマや今後の強化対象
  • 外部研修サービスの利用状況、重視点
  • 実施時の課題や不安点

3.本レポートのご利用にあたって

 本レポートは、アンケートにご回答いただいた法人への情報提供を目的とした速報版です。個別の法人の状況を分析したものではなく、全体傾向の把握を目的とした集計結果と簡易な考察を掲載しています。より詳細な分析や個別のご相談等には対応しておりませんので、あらかじめご了承ください。記載された結果は、ご参考としてご覧いただき、自法人での検討や取組の一助としてご活用いただけますと幸いです。

 

Q1. 研修の実施頻度

 「年1~3回程度実施している」が52.3%と過半数を占め、最も多い回答となった。「年4回以上実施している」(15.6%)と合わせると、およそ7割の法人が年1回以上の研修を実施している。一方で、「一度も実施したことがない」(16.5%)、「過去に実施していたが現在は行っていない」(15.6%)といった未実施層も3割程度存在している。法人内研修は、多くの法人で一定の頻度で実施されていることがうかがえる。特に「年1~3回」という選択肢が過半数を占めており、定期的に研修を取り入れる法人が主流となっている。一方、現在未実施の法人が3割存在している点は注目に値する。分析の結果、職員数が少ない法人では研修の実施率が低い傾向が見られ、特に10人未満の法人では「一度も実施したことがない」割合が高くなっていた。これは、日常業務の多忙さやマンパワーの制約により、研修の企画・運営が難しい状況にあることを示唆していると考えられる。研修実施の有無や頻度は、法人の規模や体制に左右される面があることがうかがえる結果となった。

 

Q2. 主な研修対象者

 「全職員(対象者を限定しない)」が約5割を占め最も多く、次いで「一般職員」が約4割を占めた。「パート・アルバイト」や「テナント・委託業者」を対象とする回答は少数にとどまり、対象者を限定せず実施している法人が多いことが分かる。法人内研修は特定の階層や職種に限定せず、全職員を対象に行っている法人が半数を占める。これは、組織全体の意識向上や情報共有の手段として研修が活用されていることを示唆している。一方で、「一般職員」を主な対象とする法人も一定数存在し、現場で業務に直接従事する層のスキル向上を重視していると考えられる。パートや委託業者までを含めた研修実施はまだ限定的であり、業務上の関与度合いや雇用形態によって研修の範囲が分かれている実情がうかがえる。また、職員数が多い法人では、全体研修を行う体制的余裕がある一方で、少人数の法人では研修の実施対象がより限定される傾向もみられた。

 

Q3. 実施している研修形式

 最も多かったのは「対面(集合研修)」で60件、次いで「外部講師を招いた研修」42件、「オンデマンド動画の視聴」30件、「オンライン(ライブ配信)」26件、「社内講師による研修」25件が続いた。多くの法人が複数の形式を併用していることが読み取れる。「対面(集合研修)」が最多であり、依然として対面形式が主流であることが明らかになった。特に一定規模以上の法人では、職員を一堂に集めて研修を行う体制が整っているとみられる。一方で「オンデマンド動画の視聴」や「オンライン(ライブ配信)」も高い割合を示しており、ICTを活用した柔軟な受講スタイルも広がりつつある。職員数が20名以上の法人では、対面に加えて動画やオンライン形式を併用する傾向がみられた。これは業務との両立や多様な職員層への対応が背景にあると考えられる。総じて、研修の形式は一様ではなく、法人の規模や状況に応じて多様化している様子がうかがえる。

 

Q4. これまでに実施した研修テーマ

 最も多く挙げられたのは「ハラスメント・労務管理」で、回答の半数以上にあたる53.2%(50件)を占めた。次いで「コンプライアンス・ガバナンス」が42.6%(40件)と高い関心を集めた。その他のテーマとしては、「コーチング・指導スキル」(7.4%)や「SDGs」(1.1%)が少数ながら挙げられた。「ハラスメント・労務管理」や「コンプライアンス・ガバナンス」は、法令遵守や組織の信頼性確保の観点から必須とされる内容であり、関心の高さが反映された結果となった。特にパワハラ防止法の施行など、近年の法改正が実施の後押しとなっている可能性がある。これらのテーマは法人の規模に関わらず共通する課題であるが、職員数が多い法人では内部通報制度の整備や管理職研修の一環として実施されている傾向も見られる。一方で、「コーチング・指導スキル」や「SDGs」のようなテーマは、一定のリソースや育成方針が整っている法人に限定される傾向があり、取り組みに差が出ていることがうかがえる。

 

Q5. 今後、研修を強化したい対象者

 最も多く挙げられたのは「一般職員」で、全体の63.7%(65件)にのぼった。次いで「新入職員」25.5%(26件)、「役員等」23.5%(24件)、「パート・アルバイト」5.9%(6件)と続いた。「全役職員(対象者を限定しない)」は1件(1.0%)にとどまった。一般職員を対象とした研修の強化を希望する声が最も多く、法人の実務を担う中核層の育成が課題となっていることがうかがえる。特に職員数10〜29人規模の法人では、日常業務の幅広さから個々の職員に求められるスキルが多様であり、基礎的かつ実践的な研修の必要性が高いと推察される。また、新入職員に対する研修強化も一定の回答が見られ、組織文化や業務の早期習得を支援する体制づくりの意識が感じられる。一方、役員等への研修を挙げた法人も4分の1程度存在し、ガバナンス強化や組織の透明性確保への関心の高さが背景にあると考えられる。なお、パート・アルバイトへの研修ニーズは相対的に低いが、限られた人員で運営する小規模法人ではその重要性が今後増していく可能性もある。

 

Q6. 関心のある研修テーマ

 「法令改正対応(制度改革・税制改正など)」が最も多く、56件(全体の約54.4%)の回答があった。次いで「業務改善・DX推進」が47件(約45.6%)、「内部統制・リスクマネジメント」が44件(約42.7%)となっており、制度対応・業務効率化・組織統治といったテーマに高い関心が寄せられている。多くの法人が、制度変更に伴うルール整備や、業務プロセスの見直し、ガバナンス強化に関心を寄せている実態が浮き彫りとなった。これは、日々変化する制度環境への対応や、限られた人員での効率的な運営を志向する法人が多いことの現れと考えられる。特に職員数の少ない法人では、業務効率化やリスク管理の研修ニーズが相対的に高く、自法人の体制を補完する手段としての研修活用が期待されている。全体として、組織経営上の実務的な課題に直結するテーマに強い関心が集まっている。

 

Q7. 希望する研修形式

 最も多かったのは「対面(集合型)」で67件(65.0%)、次いで「オンライン(ライブ配信)」が53件(51.5%)、「オンデマンド動画」が51件(49.5%)となった。「eラーニング(反復学習)」は31件(30.1%)、「マンツーマン指導・コーチング」はわずか3件(2.9%)にとどまった。集合研修への支持が根強く、職員間の交流や一体感の醸成、対面での理解促進を重視する法人が多いことがうかがえる。一方、オンライン(ライブ配信)やオンデマンド形式も半数近くの法人が希望しており、研修参加の柔軟性や利便性を重視する傾向も併存している。特に職員数の多い法人では、会場確保や日程調整の負担軽減を目的としてオンライン形式を選好する傾向が見られる。一方で、職員数が少ない法人においてもオンデマンド動画やeラーニングなど、時間を選ばない学習スタイルへの関心が一定数存在し、個別最適な学びへの需要が感じられる。全体として、従来型の集合研修を軸としつつ、IT技術を活用したハイブリッドな研修形式へのニーズが高まっている状況である。

 

Q8. 外部委託時に重視するポイント

 最多は「わかりやすく実践的な内容」で77件(76.2%)、次いで「料金の明確さ・手頃さ」が70件(69.3%)、「実績や信頼性のある講師」が47件(46.5%)だった。一方で「柔軟な開催方法(オンライン対応など)」は33件(32.7%)、「スムーズな運営支援(申込・設営など)」は12件(11.9%)にとどまった。内容の質や費用対効果を最重要視する傾向が明確であり、外部研修を導入する際には「学んだことが現場で活かせるかどうか」や「法人の予算内で実施できるかどうか」が選定の大きな判断材料となっている。特に職員数10人未満の小規模法人では「料金の明確さ・手頃さ」を選択する割合が相対的に高く、研修導入にあたってのコスト負担への慎重な姿勢が表れている。また、講師の信頼性も半数近くの法人に重視されており、過去の実績や法人に対する理解度が委託判断において重要な基準とされていることがうかがえる。運営支援やオンライン対応といった実施面の柔軟性は一定のニーズはあるものの、優先度としてはやや低い傾向である。

 

Q9. 研修実施時の課題や困りごと

 最も多かったのは「日程調整」で37件(40.2%)、次いで「研修テーマの選定」が29件(31.5%)、「特に困ったことはない」が25件(27.2%)だった。「内容が合わず」や「参加者の満足度が低かった」といった回答もそれぞれ12件(13.0%)見られた。日程調整の困難さが最大の課題として浮上しており、日常業務との兼ね合いや複数の職員の都合を踏まえたスケジューリングが大きな負担となっている実態がうかがえる。特に職員数の少ない法人では、研修に全員が一斉に参加することが難しく、業務との両立を図る必要があるため、日程面の制約が顕著であると考えられる。また、テーマ選定についても約3割が課題と感じており、参加者のニーズや法人の現状に即した内容を見極める難しさが背景にあると推察される。「特に困ったことはない」との回答も一定数あり、研修実施が定着している法人では運営上の課題が比較的少ない様子も見受けられる。一方で、「内容が合わず」「満足度が低かった」という声もあり、研修の質や期待との乖離も課題として残っている。

 

Q10. 外部研修サービスの利用状況

 最も多かったのは「はい(複数回)」で57件(52.3%)、次いで「利用したことはない」が40件(36.7%)、「はい(1回のみ)」が6件(5.5%)、「検討したが実施していない」が5件(4.6%)という結果だった。「個人でプライベートで受講」は1件(0.9%)にとどまった。過半数が外部の研修サービスを複数回利用していることから、外部リソースの活用が一定程度定着していることがわかる。一方で、約4割の法人は「利用したことがない」または「検討したが実施していない」と回答しており、導入に至っていない法人も少なくない。職員数10人未満の小規模法人では「利用したことがない」との回答割合が高く、予算やマンパワーの制約が外部研修利用の障壁になっていると考えられる。また、「はい(1回のみ)」にとどまっている法人については、初回利用の満足度や継続の仕組みが課題となっている可能性もある。外部研修の有効性や導入事例の情報共有が、今後の利用促進につながる鍵になるだろう。

 

Q11. 外部研修サービスの印象

 最も多かったのは「費用が高く感じた」で34件(37.4%)、次いで「内容が専門的で有益だった」が30件(33%)、「特になし」が26件(28.6%)、「講師の質に差があると感じた」が24件(26.4%)、「自法人に合わないと感じたことがある」が19件(21.1%)と続いた。費用面に関する懸念が最も多く挙げられており、特に小規模法人では予算制約がネックになっていると推察される。内容自体の評価は高く、「専門的で有益だった」との声が上位にあることから、研修の質そのものには満足感を持っている層も一定数存在する。講師の質や内容のマッチングについては、「差がある」「合わない」といった意見も見られ、導入前のすり合わせや法人ごとのニーズに応じた設計の重要性が浮き彫りとなっている。また、「特になし」との回答も比較的多いことから、そもそも印象形成の機会がなかった、あるいは中立的な印象にとどまっている法人も少なくないと考えられる。費用対効果や導入しやすさの面での改善が、今後の利用拡大のカギとなる可能性がある。

 

Q12. 関心のある外部研修情報の提供内容

 最多は「他法人の導入事例の紹介」で49件(49.5%)と、約半数の回答者が関心を示した。「導入しやすいサービス(短時間・低価格等)の紹介」と「無料セミナーや相談会の案内」がそれぞれ44件(44.4%)で続き、次いで「活用事例のレポート共有」が30件(30.3%)となった。外部研修に関する情報提供では、「他法人の導入事例」や「導入しやすさ」に注目が集まっており、他法人の取り組みから学びたいというニーズが特に高いことがうかがえる。導入事例や活用レポートのような“具体的な運用イメージ”が得られる情報は、自法人に導入する際の判断材料として重視されていると推察される。また、短時間・低価格のサービス紹介や無料のセミナー案内が上位に挙がったことから、費用負担や時間的制約が外部研修導入の大きな障壁になっている様子もうかがえる。特に職員数の少ない法人では、こうした制約が顕著であり、柔軟かつコスト効率の良い研修情報への関心が高まるのは自然な流れといえる。実際に導入して成果が出ている事例や手軽に参加できる案内があれば、これまで導入に踏み切れていなかった法人の背中を押す材料になると考えられる。