【景気のゆくえ】消費税増税の駆込需要は少ない

山澤成康
(跡見学園女子大学教授)

 5月の鉱工業生産指数は、季節調整済み前期比で2.3%と大きく上昇した。また、5月の景気動向指数も前月比で1.1ポイント上昇となり、下げ止まりを示した。今後発表される消費関連指数が堅調なら、経済指標面からは景気がひとまず持ち上がった可能性がある。
 一方、経営者の業況判断は悪化している。6月の日銀短観の全規模全業種の業況判断DI(良い-悪い)は前期より2悪化し、10となった。景況感のピークは2018年3月だ。
 今後景気のカギを握るのは、消費税率上昇だ。10月に消費税率が8%から10%に引き上げられる。意外に思われるかもしれないが、景気にはプラスの面が多い。
 消費税率上昇の影響はまず住宅投資に現れる。8%の税率適用のためには住宅引渡し時点が10月より前である必要があり、通
                           

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