【特集】 公益認定までの流れと留意点

白崎隼一
(しらさき・じゅんいち 内閣府大臣官房公益法人行政担当室室員)

一般法人が公益認定を受け公益法人になるためには、申請を行い、行政庁(内閣総理大臣又は都道府県知事)から公益認定を受ける必要がある。ここでは、公益認定を受けるまでの一連の流れと留意点について分かりやすく解説する。

はじめに

 「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」(平成18年法律第49号。以下「公益認定法」という。)に基づく公益認定制度においては、一般社団法人及び一般財団法人のうち公益目的事業を行うことを主たる目的としている法人は、行政庁(Ⅱ③参照)に申請を行い、公益認定を受けることができる。
 公益認定にあたっては、法人が行政庁への申請を行い、法人から申請を受けた行政庁は、民間有識者で構成される合議制の機関(国にあっては内閣府公益認定等委員会、都道府県にあっては各都道府県の合議制機関。以下「委員会等」という。)に対する諮問・答申を経て、法人への処分を行うという流れになる(図1参照)。本稿では、公益認定までの流れと留意点について解説する。
 なお、文中の意見にわたる部分は筆者の私見であることをお断りしておく。

図1:申請から認定を受けるまで

Ⅰ 公益認定基準と審査

 公益認定を受けるためには、「公益目的事業(学術、技芸、慈善その他の公益に関する公益認定法別表各号に掲げる種類の事業〔図2参照〕であって、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与する事業)を行うことが主たる目的であること」等の公益認定法第5条各号に規定する公益認定基準(図3参照)に適合するとともに、「暴力団員等が事業活動を支配している」等の公益認定法第6条各号に規定する欠格事由に該当しないことが必要である。
 法人から申請を受けた行政庁は、当該法人が欠格事由に該当するかどうか審査するとともに、委員会等に、当該法人が公益認定基準を満たすかどうか諮問し、欠格事由に該当せず、公益認定基準を満たしていることが認められれば、公益法人として認定することとなる。

図2:公益認定法別表
公益目的事業
学術、技芸、慈善その他の公益に関する別表各号に掲げる種類の事業であって、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するものをいう。
図3:公益認定基準
1. 法人の目的及び事業の性質、内容に関するもの
① 公益目的事業を行うことが主たる目的であること。(1号)
② 公益目的事業に必要な経理的基礎と技術的能力があること。(2号)
③ 理事、社員など当該法人の関係者や営利事業者などに特別の利益を与えないこと。(3、4号)
④ 社会的信用を維持する上でふさわしくない事業や、公の秩序、善良の風俗を害するおそれのある事業を行わないこと。(5号)
⑤ 公益目的事業以外の事業を行う場合には、公益目的事業の実施に支障を及ぼすおそれがないものであること。(7号)
2. 法人の財務に関するもの
① 公益目的事業に係る収入が適正な費用を超えないと見込まれること。(6号)
② 公益目的事業比率(費用ベース)が100分の50以上になると見込まれること。(8号)
③ 遊休財産額が年間の公益目的事業費を超えないと見込まれること。(9号)
3. 法人の機関に関するもの
① 同一親族等及び他の同一団体の関係者が理事又は監事の3分の1を超えないこと。(10号、11号)
② 一定の基準を満たす場合に会計監査人を設置していること。(12号)
③ 理事、監事への報酬等の支給基準を定めていること。(13号)
④ 社員に対し不当に差別的な取扱いをせず、理事会を設置していること。(14号)
4. 法人の財産に関するもの
① 他の団体の意思決定に関与することができる財産(株式等)を保有していないこと(ただし、議決権の過半数を有していない場合はこの限りではない)。(15号)
② 公益目的事業に不可欠な特定の財産があるときは、その処分制限等必要な事項を定款で定めていること。(16号)
③ 公益認定取消等の場合に公益目的取得財産残額に相当する財産を類似の事業を目的とする公益法人等に贈与する旨の定款の定めがあること。(17号)
④ 清算の場合に残余財産を類似の事業を目的とする公益法人等に帰属させる旨の定款の定めがあること。(18号)
出典:公益認定法第5条を基に筆者作成

Ⅱ 行政庁への申請

 公益認定の申請は、申請書を行政庁に提出してしなければならない(公益認定法第7条)。申請主体等は以下のとおりである。
① 申請主体
 公益認定を申請できる主体は、公益目的事業を行う一般社団法人及び一般財団法人である(公益認定法第4条)。
 一般社団法人及び一般財団法人は、非営利を原則とし、法律上その行う事業の範囲に関して特段の制約がなく、多種多様な事業を実施することが期待できることから、これらの法人についてのみ公益認定を受けられることとしているものである。
② 申請書の作成
 公益認定の申請は、「公益目的事業の種類及び内容」等、公益認定法第7条第1項各号に掲げる事項を記載した申請書を行政庁に提出してしなければならず、また、当該申請書には、定款や事業計画書等、公益認定法第7条第2項各号に掲げる書類を添付しなければならない。
 申請書における記載事項や添付書類についての詳細は、「申請の手引き〔公益認定編〕」(平成24年9月4日更新、内閣府/都道府県)(以下「手引き」という。)や「公益認定等ガイドライン」(平成20年4月〔平成31年3月改定〕、内閣府公益認定等委員会)(以下「ガイドライン」という。)に記載しており、これらを参考にしていただくことになるが、審査において、特に、法人が実施する公益目的事業の公益性の有無が議論になることが多いため、公益目的事業に係る申請書の記載について補足する。
 公益目的事業については、事業の概要(趣旨、内容、事業の対象(対象者の範囲、数、属性など)等)が分かるように具体的に記載するとともに、「不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与する」といえる事実を簡潔に書く必要がある(手引き19、20頁参照)。
 ガイドラインにおいて、この「不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するもの」に該当するかどうかを認定するに当たっての留意点として、「検査検定」や「講座、セミナー、育成」などの17の事業区分(表参照)ごとに、公益目的事業のチェックポイントが示されており、例えば、「講座、セミナー、育成」の場合は、「受講者を募り、専門的知識・技能等の普及や人材の育成を行う事業」のことであるとされ、この事業区分におけるチェックポイントとして、「当該講座等を受講する機会が、一般に開かれているか。」「講師等に過大な報酬が支払われることになっていないか。」等が掲げられている。
 なお、17の事業区分は、法人の行う多種多様な事業の中から典型的な事業について整理したものであり、これ以外の事業は公益目的事業ではないということではなく、17の事業区分に当てはまらない事業については、「(参考)公益目的事業のチェックポイントについて」(平成20年4月11日、内閣府公益認定等委員会)の「2 上記の事業区分に該当しない事業についてチェックすべき点」に掲げられたチェックポイントに沿って、公益性についての説明を記載することとなる。
③ 申請先の行政庁及び申請方法
 申請先の行政庁は、2以上の都道府県の区域内に事務所を設置する場合や公益目的事業を2以上の都道府県の区域内において行う旨を定款で定めている場合は、「内閣府(内閣総理大臣)」であり、それ以外の場合は、事務所が所在する「都道府県(知事)」である。
 また、内閣府においてポータルサイト「公益法人インフォメーション」を運用しており、このポータルサイトにおいて、申請書のダウンロードのほか、電子申請等が可能になっている。
 なお、ポータルサイトのほかにも、行政庁の窓口や郵送でも申請書の入手や申請は可能だが、ポータルサイトによる方が、申請書の入手が簡便な上、記載に際しても利便性に優れていることから、ポータルサイトの利用を推奨している。

表:「公益目的事業のチェックポイント」における事業区分と事業名の例

Ⅲ 公益認定の申請に対する処分

 法人から申請を受けた行政庁が、公益認定の申請に対する処分を行うまでの流れ等は以下のとおりである。
① 処分までの流れ
 法人から申請を受けた行政庁は、当該法人が欠格事由に該当するかどうか審査するとともに、委員会等に、当該法人が公益認定基準を満たすかどうか諮問し、欠格事由に該当せず、公益認定基準を満たしていることが認められれば、行政庁は、公益法人として認定することとなる。
 なお、公益認定の申請に対する処分は、行政庁により行われるが、処分の前提となる公益認定基準への適合性についての判断は、委員会等の答申を踏まえ、これを尊重して行政庁が処分を行うこととなる。
 また、行政庁は、公益認定の申請に対する処分をしたときは、その結果を法人に対し通知するとともに、公益認定をしたときは、その旨を公示することとされている(公益認定法第10条)。
② 処分までの期間
 申請書類の記載事項に不備がある場合や申請に必要な書類が添付されていない場合等、法令に定められた申請の形式上の要件に適合しない等の場合には、行政庁から法人に当該申請の補正を求めることがある。
 公益認定の申請から処分がされるまでの期間(行政手続法〔平成5年法律第88号〕第6条に規定する通常要すべき標準的な期間)は、4か月とされているが、これは、申請時点において、申請書類の記載に大きな不備がなく、申請にあたって必要な書類が揃っていることが前提となるため、公益認定を希望する時期がある法人は、この点に留意して対応することが必要になる。
③ 処分の効力発生時
 行政処分の効力発生の基準時は、判例において「特段の法令上の定めがない限り、処分の内容を相手方が現実に了知し、または相手方の了知しうべき状態に置かれた時」(最判昭29.8.24等)とされていることから、公益認定の申請に対する処分についても同様に、当該処分に係る通知書の到達時など、処分の内容を相手方が現実に了知し、又は相手方の了知しうべき状態に置かれた時が基準時となると考えられる。

おわりに

 公益認定までの流れと留意点については以上のとおりであるが、疑問があれば、行政庁に遠慮なく質問しながら、手続きを進めることが、円滑な公益認定のうえで重要だと考える。
 本稿が読者の今後の公益認定の申請等の一助となれば幸いである。

執筆者Profile
白崎隼一(しらさき・じゅんいち)
内閣府大臣官房公益法人行政担当室室員。同室において、法人や都道府県からの質問への回答など、法令解釈に関する業務全般を担当。

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