【非営利組織の経営講座】第1回 非営利組織がマネジメントを嫌悪する「独自性の神話」

堀田和宏
(近畿大学名誉教授)

1 非営利組織経営学の発展の歴史は浅い

 古くから、贈与、喜捨、慈善の行為に関する研究は社会学や文化人類学において、また、そのような行為の制度に関する研究は法学、政治学、行政学で行われていた。他方、非営利活動がその領域を拡張し、その規模を拡大して社会経済において「制度化」され、一定の社会経済的役割を果たすようになってから、少なくとも研究の分野では、非営利活動の事業体を経済的/経営的実体として捉える社会的基盤ができ上がる。
 そこで、非営利の世界と非営利の事業が合理的行動をする「経済人」を前提に研究する経済学や経営学の研究対象になることは利己の経済・経営から利他のそれへの新しい大きな転換を要するだけに学問の専門分野としては決して容易なことではないにもかかわらず、早くも欧米では19
                           

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