『公益・一般法人』2020年4月15日号
【NEWS】内閣府、コロナで収支相償にも配慮

 内閣府は3 月19日、「新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う公益法人の運営に関するお知らせ」を更新した(更新前は3 月12日に公表。詳細は本誌4 月1 日号参照)。
 資料によれば、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う影響により、公益法人が今年度の事業に関して予定通りの支出ができず、収支相償が満たせない場合でも、「その状況を斟酌」するとしている。また「単年度の収支が必ず均衡するよう杓子定規に求めるものではな(い)」とし、「中長期的に収支が均衡すれば、これを満たすもの」としている。
 内閣府の担当者によれば「今般の新型感染症はFAQ問Ⅴ- 2 -⑤の2 ( 2 )の予想外の事情に該当する」とのことで、「当初の特定費用準備資金の積立期間や剰余金解消計画( 1 年延長した場合も含む)に変更が生じた場合であっても、今後の計画についてしっかりと説明していただければ配慮する。」とのこと。立入検査においても同様に配慮する方針。
 以下、内閣府から公表された資料及びFAQの一部を掲載するとともに公益法人制度に詳しい出口正之氏のコメントを紹介する(編集部)。

有識者はこう見る!

より冷静で確実な情報の提供を

国立民族学博物館教授・元内閣府公益認定等委員会常勤委員 出口正之
主な著書・共著に『フィランソロピー』『フィランソロピー税制の基本的課題』、監訳書に『米国のNPO税制』等。

 安倍総理が2 月29日に記者会見を開き1 〜 2 週間の各種のイベントの自粛を求めたことは周知の通りである。「今般の事態のため事業を中止・延期」した場合に対しての情報を内閣府が発表したことは一応評価したい。しかし、総理の要請した1 〜 2 週の間ではなく、それを超えたほぼ3 週間後での発表である。
 収支相償にはFAQ問V- 2 -⑥でも単年度の剰余金は認められるという解釈が示されているところであり、自粛する際の判断材料としてFAQの情報を確認的に提供するのならば、もっと早くしなければならないし、もしそうでないとしたら、次の2 点から今後禍根を残しかねないと考える。
 第1 に、「収支相償」規定は、「収入」と「適正な費用」との関係の規制である。これに対して今回の措置はわざわざ「収入が支出を上回りかねない」という説明をつけ、「支出」という異なる概念を持ち出している。
 第2 に、「今般の事態のため事業を中止・延期」した場合には、逆に想定していた収益が入らないことも予想される。過年度との関係で収支相償上の取扱いの課題が生じる法人も出てくる。何故に収支相償一般ではなく、「今年度は収入が支出を上回りかねない」と年度を限定しかつ片務的な事態に限定する対応を公表したのだろうか?
 ただでさえ収支相償については解釈を二転三転させ現場で物議を誘う計算を強いられている中で、混乱をかえって誘発することにならないか。「斟酌する」という内容も、意味を受取る法人や地方の行政庁・合議制機関によって大きな幅が出て、数年にわたって混乱を持ち越すことにもなりかねない。
 こういう時こそ、間髪入れぬ情報か、あるいは少しタイミングがずれるのであれば、冷静で確実な情報を提供して頂きたいものである。

令和2 年3 月19日
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う公益法人の運営に関するお知らせ
(略)
 今般の事態のため事業を中止・延期して予定どおり支出できず、今年度は収入が支出を上回りかねないとのご懸念についてですが、もとより「収支相償」とは、単年度の収支が必ず均衡するよう杓子定規に求めるものではなく、翌年度以降の計画的な解消などによって中長期的に収支が均衡すれば、これを満たすものとして運用しています。
 まして、今般の事態のようにやむをえない事由により収入が支出を上回る場合には、行政庁としては、その状況を斟酌して対応いたします。
<参考:内閣府「公益法人制度等に関するよくある質問(FAQ)令和2 年3 月版」>
問Ⅴ- 2 -⑤(収支相償)
 収支相償を計算した結果、収入が費用を上回って剰余金が出た場合はどうすればよいのでしょうか。また、この剰余金は遊休財産となるのでしょうか。

 (略)
2  ⑵  当該事業に係る特定費用準備資金を積み立てた上でも、予想外の事情の変化等によって剰余金が生じる場合もあり得ます。このような場合でも、この剰余金が連年にわたって発生し続けるものではなく、当該事業を通じて短期的に解消される見込みのあるものであれば、収支相償の基準を充たすものとして弾力的に取扱うこともあり得ます(ガイドラインI-5.⑷②参照)。
⑶  具体的には、剰余金が生じた理由及び当該剰余金を短期的に解消する具体的な計画について説明していただくことが必要です。この場合の短期的とは原則として翌事業年度ですが、その次の事業年度までかけて解消せざるを得ない場合には、その計画を説明していただくことで収支相償の基準を充たすものとして取扱うこともあり得ます。また、この剰余金は当該事業において用いられるべきものですので、翌事業年度の収支相償の計算では前事業年度の剰余金の額を当該事業に係る収入の額に加算していただくことになります。
間V- 2 -⑥(収支相償)
 収支相償の剰余金解消計画は、必ず翌事業年度で解消するものが必要でしょうか。

 (略)
3  ただし、発生した剰余金が翌事業年度における解消計画で適切に費消することができないことについて特別の事情や合理的な理由がある場合(注1 )(注2 )には、使い道についてしっかりと検討した上で、より計画的に資金を活用し、効果的に公益目的事業を実施することが、公益の増進を目的とする公益法人認定法の趣旨に沿うものと考えられます。
 このため、次のア~ウを前提に、収支相償の剰余金解消計画を1 年延長する取扱いが認められます。なお、この場合において、行政庁は、必要に応じて特別の事情や合理的理由、資金使途の内容等について確認することになります。
 (略)


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