第12回 非営利組織の特性(その8)

堀田和宏
(近畿大学名誉教授)

(承前)
 第3章 非営利組織の性質 

4 供給する財・サービスの公益性

⑶ 公益性は相対的概念である
 そもそも「公益」といっても、いつの時代においても、それは何らかの特定集団の利益を表すのに使われる用語である。満たされない需要や差別的需要を充足できない政府の失敗から生まれる芸術活動や教育活動あるいは宗教活動をする今日多く見受けられる非営利団体は、実は「特定集団の利益」を根拠にしていることは明らかである。それなのに、これらの活動が公益性を有するものとして公に認められ各種の優遇措置を受けている現実がある。
 本当のところは、これらの私的な集団の共益活動を「公益性」があると認定する公権力がその集団の特定利益を公益性ありと裁量判断するのであり
                           

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