第27回 ▶︎ 第2部 非営利組織のガバナンス(その5)

堀田和宏
(近畿大学名誉教授)

 第3章 プライベートセクター・ガバナンス

1 日本のコーポレートガバナンスの進展

⑴ 日本の企業文化に根差すネットワークガバナンス

 日本のコーポレートガバナンスは第二次大戦後長らく、系列集団内の株式持ち合いや持株会社(戦前の財閥形態と今日のM&A形態)とメインバンク制による金融機関のガバナンスを特徴としてきた。つまり、日本企業の特徴は「系列」に代表されるように内部市場取引にあり、この内部市場取引によっていわば「内々の」系列ネットワークガバナンスが機能していたのである。
 金融市場・証券市場の外部株主よりも株式の相互保有と役員持合い制度による相互連携と相互牽制、あるいはメインバンクによる全体制御のガバナンスである。いきおい外部投資家を軽視する傾向となって
                           

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