公益法人会計が存在する理由

古市雄一朗
(ふるいち・ゆういちろう 大原大学院大学教授)

はじめに

 アメリカ会計学会(AAA)によると、「会計とは、情報の利用者が情報に精通して判断や意思決定を行うことができるように、経済的情報を記録し、測定し、伝達するプロセスである」(AAA[1966]p.1 )。この定義に沿って考えるならば、企業であれ、公益法人であれ、組織が外部の情報利用者に経済的情報、すなわち貨幣の変動を伴う活動に関する情報を提供することで、情報利用者がその情報に基づいて何らかの意思決定を行う場合に、会計という情報伝達プロセスは必要不可欠なシステムである。
 営利企業に当てはめるならば、証券市場において企業が会計情報を公表し、投資家がその情報に基づいて投資判断を行う状況がイメージしやすいだろう。一方、公益法人の場合には、組織が提供した会計
                           

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