収支相償規定に関する 解釈の「正常化」

大貫 一
(おおぬき・はじめ 金沢星稜大学教授 公認会計士)

 昨年、内閣府から2つの文書(「特費のすすめ」「寄附を推進力に」)が公表されました。前者を読めば、特定費用準備資金は、実際の業務運営の中で思わぬ利益や余剰資金が出てしまった場合に、一種の「緩衝材」「調整弁」として利用できることが理解できます。また、後者を読めば、比較的容易な手続で、寄付金収入を指定正味財産として受入処理できることが分かります。
 公益法人の認定要件の一つに公益目的事業に係る収支相償規定があり、認定申請を行う際の収支予算書では、公益目的事業は全て赤字になるような予算を作成・提出した法人が多かったはずです。この当初予算は、公益法人を監督する側も含め、公益法人の実務に携わる者に強烈な印象を残しています。その結果、多くの法人は、公益認定を受けた後も毎年度「適正な費用を償う額を超
                           

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