受賞記事
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審査委員長評言
財団法人の基本財産については、財団法人の目的である事業を行うことを妨げることとなる処分をしてはならない(法人法172条2項)という定めがあり、低金利時代が長期間続く中で、腫れ物に触るような法人も多かったものと思う。内野さんの論文は、こうした中で具体的に基本財産を取り崩す場合の会計上の手続を挑戦的に論じたものである。自由と規制は紙一重でつながっており、石橋をたたいて規制ばかりを強調すると、本来、公益法人の活動の活性化を意図した立法趣旨とどんどん離れていってしまう。実務家がこうした問題に挑戦していく姿勢に選考委員会は渋谷賞に相応しいものと高い評価を与えた。
受賞者コメント

この度は、名誉ある第2回実務大賞を賜り、大変光栄に存じます。審査委員の先生方、投票してくださった読者の皆様、賞に携わる全ての方々に御礼申し上げます。
対象となった「基本財産取崩しの実務Q&A」の寄稿は、編集委員の先生の方々からのご提案によるものでした。さらにそのきっかけの1つも連載の「会計相談室」の記事からと伺い、これまでいただいた執筆機会の積み重ねが成せるものと深く感謝しております。
次年度以降、新しい公益法人制度の施行とそれに伴う会計基準の改訂が予定されていますが、引き続き公益法人に関わる皆様のお役に立てるよう、尽力してまいりたいと思います。
内野恵美(うちの・めぐみ)プロフィール
公認会計士・税理士。大手監査法人勤務を経て独立。公益法人や社会福祉法人などの非営利法人会計を専門とした監査・コンサルティング業務に従事。日本公認会計士協会非営利業務検討専門部会専門委員等歴任。