実務担当者が知っておきたい裁決・判決に学ぶ租税実務[61]譲渡所得税及び相続税非課税の特例

永島公孝
(税理士)

Ⅰ 包括的所得概念とは

 前回、所得税法59条、租税特別措置法40条について解説しました。所得税法には、「所得」そのものについての定義が示されていません。現在の所得税法では、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得、雑所得の10種の所得を所得税課税の対象としています。これらの所得は、周期的な利得、一時的、偶発的なものも非課税規定が存在しない限り、いかなる源泉から生じた所得であれ所得税が課税されることになります。金銭に限らず、現物給付、債務免除などの経済的利益も所得になり、またその利得が合法、違法でも課税の対象となります。
 このように、現在の所得税法は、「所得」の意味において「包括的所得概念」を採用しています。所得税
                           

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