『公益・一般法人』最新号目次

 2018年8月合併号 


論壇

公益活動を行う手法の選択肢

松元暢子(学習院大学教授)
 現在、法制審議会信託法部会において、公益信託法の改正についての検討が進められている。大正11(1922)年の立法以来、ほぼ1世紀ぶりの改正となる。「公益信託法の見直しに関する中間試案の補足説明」(平成29年12月、法務省民事局参事官室)によれば、試案の要点として3つの点が挙げられている。「公益信託の信託事務及び信託財産の拡大」、「公益信託の受託者の拡大」、「主務官庁による許可・監督制の廃止」である。……

特集:非営利組織特有の「3つの資金獲得方法」と「年間700億の新財源」

非営利法人特有のファンドレイジング実
―寄付・会費・助成金を獲得するためのポイント―

徳永洋子(ファンドレイジング・ラボ代表/(認特)日本ファンドレイジング協会理事)
 企業ではあまり耳にしないが、非営利法人には①寄付を募る、②入会してもらい会費を得る、③財団や行政に申請し、助成金(補助金)を得る、という3つの非営利組織特有の資金獲得方法がある。今回はそれぞれのポイントについてプロのファンドレイザーにご解説いただいた―。……

休眠預金等の活用に向けた取組み
―休眠預金活用法の概要―

木田翔一郎(弁護士)
 毎年700億円程度にも上ると言われている使われていないお金「休眠預金」―。政府はこれを上手く民間公益活動に使うべく、準備を進めている。今回はそんな非営利組織の新たな財源の動向について整理してみた。……

NEWS

官民協働で公益活動の促進を~骨太2018~

 政府は6月15日、「経済財政運営と改革の基本方針2018」(骨太の方針)を閣議決定した。
 今回の骨太の方針では、「少子高齢化の克服による持続的な成長経路の実現」を主題に、幼児教育無償化の前倒しや、平成31年10月の消費税率引上げに備えた予算作成の計画などが盛り込まれた。また、非営利法人に関連する項目では、前年度より引き続いて、休眠預金等活用制度の運用開始を目標とするほか、行政や企業及び非営利法人がお互いの強みを発揮して、社会的課題の解決を目指すコレクティブインパクトなどの推進を掲げている。 ……

非営利法人研究学会、第22回全国大会の詳細が決定!!

 9月8日(土)から9日(日)にかけて、公益社団法人非営利法人研究学会(会長:堀田和宏近畿大学名誉教授)の全国大会が武蔵野大学有明キャンパスにて開催される。第22回目を迎える今大会の統一論題は「NPO法施行20年~その回顧と展望~」となった。
 この統一論題については大会1日目において、まず井出亜夫氏(元経済企画庁国民生活局長、元慶應義塾大学教授)が基調講演を行い、司会に成道秀雄氏(成蹊大学特任教授)を迎え、濱口博史氏(弁護士)、江田寛氏(公認会計士)の2名が報告をした後、これら全員によるパネルディスカッションが行われる。また、翌大会2日目の自由論題では、非営利組織に関わる幅広い分野の10の報告が予定されている。……

内閣府、立入検査実績を公表!!

 6月6日、内閣府公益認定等委員会は自身が運営するウェブサイト「公益法人information」上で「行政庁による監督と法人運営上の留意事項(立入検査実績を踏まえて)」を公表した。
 これは7月19日に内閣府が主催したセミナー「平成30年度『テーマ別セミナー』第1回」において、受講者向けに配付した資料である。この資料には内閣府における平成23年度から29年度までの立入検査実施実績が記載されており、指摘事項が多い項目として、①規則の未整備と不順守、②代表理事等の理事会での報告がない又はその確認ができない、③法人印の使用と管理が不十分、④会計処理が不適正、⑤収支相償を満たしていない、が挙げられている。このうち、①と②で全体の約2割、③~⑤の合計は全体の約1割を占めるとのこと。……

解説

『収益認識に関する基準』が公益・一般法人に与える影響

笠田朋宏(公認会計士・税理士)
はじめに ~ステップは5つ~
 「実現主義」。会計を学んだ者や経理に携わる者にとっては、基礎的な事項として理解されていることであろう。「売上高は、実現主義の原則に従い、商品等の販売又は役務の給付によって実現したものに限る。」(企業会計原則第二損益計算書原則三B)。我が国においては、収益認識に関する基準が、工事契約やソフトウェア取引を除きこの原則しか存在していなかった。一方、国際的潮流では、既に収益認識に関し包括的な基準が公表されていた。その状況を踏まえ、企業会計基準委員会(ASBJ)は、2018年3月30日、企業会計基準第29号「収益認識に関する基準」(以下「基準」という。)及び企業会計基準適用指針第30号「収益認識に関する基準の適用指針」(以下「指針」という。)を公表した。……

公益不認定に対する法的対応
―改正行政不服審査法の活用について―

三木秀夫(弁護士)
はじめに
 民法に基づく旧公益法人制度は、平成20(2008)年12月に抜本改正され、「一般社団法人・一般財団法人」が創設された。これら一般法人は、内閣総理大臣又は都道府県知事から公益認定を受けることにより公益法人となり、税制上の優遇措置等が受けられるといった制度に変化した。その公益認定においては、内閣府公益認定等委員会もしくは都道府県の合議制機関が上記行政庁から諮問を受けて公益認定の可否を答申し、これに基づいて認定等の決定がなされている。その際の公益認定等の要件は、公益認定法等で詳細に定められているが、最終的な判断は、内閣府公益認定等委員会もしくは合議制機関と各行政庁に委ねられている。……

公益法人会計検定試験2級サンプル問題の出題分析

金子良太(國學院大學教授)
全体を通じて
 公益法人会計検定試験では、問題Ⅰで(主として公益法人会計基準に対する理解力を問う)文章問題、問題Ⅱで仕訳、そして問題Ⅲで財務諸表の作成が出題されている。理論問題と計算問題双方ができて、検定試験の合格に結び付く。
 すべての問題に共通しているのは、公益法人会計に特有の論点が必ず出題されることである。「指定正味財産」「一般正味財産」「基本財産」「特定資産」「補助金等」といった、公益法人会計に特有の用語や論点は理論問題、計算問題を問わず出題頻度が高いので、ぜひともおさえておきたい。……

インタビュー

文化芸術経営の第一人者 高橋透氏
基本法成立にみる文化芸術の新しい役割を語る

藤之江廣紀(公益法人研究家)
 これからの行政と文化芸術のかかわり
 昨年、「文化芸術振興基本法の一部を改正する法律」が施行された。これにより2001年に成立した文化芸術全般にわたる基本的な法律を定めた「文化芸術振興基本法」は、「文化芸術基本法」へと名称が改められた(「振興」の2文字がとれた形となる)。
 もちろん今回の改正は法律名ばかりでない。これまでの文化芸術の振興にとどまらず、これからの少子高齢化・グローバル化社会に対応するような観光・まちづくり・国際交流・福祉・教育・産業などの分野での施策をこの法律の範囲に取り込むことが目的とされている。 ……

連載

景気のゆくえ
企業は好調、家計は不調

山澤成康(跡見学園女子大学教授)
 企業の好調さと消費の不調さが対照的だ。企業の環境は良くなっている。財務省の法人企業統計によると2017年度の経常利益は全規模全産業ベースで6.9%増加した。日銀短観によると「良い」から「悪い」を引いた業況判断DIは全業種でプラスになっており、2018年6月(見込み)は12である。
 貿易統計をみると、5月の輸出数量指数は前年同月比4.6%増加し、特に欧米向けの増加が著しい。米国向けは同5.2%増、欧州連合(EU)向けは同18.4%増である。外需も企業活動を後押ししている。……

会計バカ一代
其之十一 経済効果は30兆円?!

古市雄一朗(大原大学院大学准教授)
56年ぶりの東京オリンピック!!
 再来年の2020年には、いよいよ東京でオリンピックが開催される。メイン会場となる新国立競技場の前をたまに通るが(我がヤクルトスワローズの本拠地である神宮球場がすぐ隣にあるのだ。)いかにも工事中という感じで本当に2年後にオリンピックが開かれるとは、にわかに信じ難い。
 考えてみると自分が子どもの頃は、オリンピックが今よりも世間的に盛り上がっていた気がする。筆者にとって最も古い記憶にあるオリンピックは、1984年のロサンゼルスオリンピック(当時5歳)である。……

法人運営手続Q&A大全
第2回 利益相反取引として理事会承認が必要な場合(その2)

熊谷則一(弁護士)
【Q】
 当法人(甲一般社団法人)は、理事会設置一般社団法人です。次のような場合、利益相反取引として理事会承認が必要になりますか。
① 当法人の主たる事務所が移転することになり、新たなビルのオーナーと賃貸借契約を締結することになります。新たなビルのオーナーは乙株式会社であるところ、当法人の理事Aは、乙株式会社の取締役でもあります。賃貸借契約の締結にあたり、利益相反取引として対応する必要がありますか。
② 改選期に新たに選任された理事Aは、……

社団・財団法人のためのネットを駆使したスマート法人運営
第2回 電磁的記録・電磁的方法とは何か part1

茂木高次(行政書士)
Ⅰ 電磁的記録・電磁的方法の対象となっているもの
⑴ 電磁的記録の対象となっているもの
 一般法人法、公益法人認定法及び整備法等の中で、書面のほかに電磁的記録での作成・備置き・閲覧等の対象となっているものは次の①から⑱である。⑨については、規定はないが、後述の理由により対象となる。電磁的記録での作成・備置き・閲覧等の対象となっているものは電磁的方法の対象でもある。……

宵越しのゼイはもたねぇ。
シーン23 俯くひまわり

上松公雄(税理士・ニューカルチャー研究室)
天龍源一郎さんがオススメする作品!!
 本連載が始まって早々からネタが続くかご心配をいただいていますが、連載継続はわが家の死活問題でもありますので、貪欲に作品探しに勤しんでおります。公開中やこれから公開される作品については、マスコミや信頼するブログ(http://takehirohasegawa.com/)から情報収集できますが、問題は昔の作品です。
 名作と聞こえているものの、果たして、現在観るべきか?それを判断する決め手に欠けます。……

会計相談室質疑応答事例紹介
建設仮勘定支出と建物取得支出の関係と使分け

亀岡保夫(公認会計士)
【質問】当法人では、建物などの固定資産取得に関する支払いはすべて一度、建設仮勘定支出として計上し、完成後もしくは取得後に建設仮勘定から本勘定である建物に振り替えています。その結果、収支計算書(資金収支ベース)やキャッシュ・フロー計算書上、固定資産の取得については建設仮勘定支出しか計上されません。しかし、建物取得支出が計上されている収支計算書(資金収支ベース)やキャッシュ・フロー計算書をよく見ます。建設仮勘定支出の使用の仕方について、ご教授ください。……

公益法人税務Q&A

上松公雄(税理士)
前2年間申告をしていなかった場合の欠損金の繰越控除
 当財団(非営利型法人)では収益事業として出版業を行い月刊誌を発行しておりましたが、2年ほど前に、激しい部数の落込みがあり、リニューアルを図るためにいったん月刊誌の発行を取り止めておりました。
 当初は、1年も間を空けずに発行を再開する予定でいましたが、諸々の事情から延び延びとなってしまい、当期ようやく再開を果たしました。……
未納会費の放棄と「特別の利益」の供与
 非営利型法人の要件に関連してお尋ねします。当社団は非営利型法人であり、現在のところ収益事業は行っておりません。ただし、会費収入については毎事業年度、多少の余剰が生じていますので、原則非課税は維持したいと考えています。……

実務担当者が知っておきたい裁決・判決に学ぶ租税実務[56]
過年度費用の計上漏れ修正に係る判例

永島公孝(税理士)
計上漏れ修正は損金算入できるのか
 過年度の費用を計上漏れしたことに気がつき修正を行う場合、過年度の費用は当年度の損金に計上できるのでしょうか。会計上の前期損益修正損として発覚したその事業年度の損失として計上した場合、税務上ではどのように取り扱われるのでしょうか。
 今回ご紹介する「東京地裁平成27年9月25日判決」の判例は、この問題に一石を投じており、とても参考になる論点が挙げられています。それでは見ていきましょう。……

労務管理なんでも相談
残業を減らす効果的な方法

島﨑髙偉(中小企業診断士)
Q「働き方改革」においても「長時間労働の是正」が大きなテーマになっていますが、当法人においても喫緊の課題です。残業を減らす方法を教えてください。

A 生産性向上と労働環境の改善を目的に、時間外労働の規制強化が法制化されました(中小事業所は2020年4月施行)。長時間労働の原因は様々ですが、主な原因と対策を解説します。……

非営利組織のファンドレイジング戦略
第16回 関係づくりのファンドレイジング戦略(その4)

堀田和宏(近畿大学名誉教授)
(承前)
Ⅲ 関係づくりのための処方箋
2 組織の適応戦略
⑶ サービスの質の保証と向上を図る
 組織がその存在の正当性を主張し、寄附を預かる妥当性と寄附を効率的に使う能力を訴えることも重要であるが、何よりもファンドレイジングの成功には、寄附市場の主導権を握る寄附者に対するサービスの質を保証し向上させることが必須である。……