第9回非営利組織の特性(その5)

堀田和宏
(近畿大学名誉教授)

 第3章 非営利組織の性質 

1 所有権の不在

⑴ 所有権不在は組織を非効率にする
 一般に、組織とは多数のステークホルダーが自己利益に動機づけられて協同するネクサス(結合集団)である。つまり、それぞれのステークホルダーが資本、労働、原材料等の特定の投入(投資)をして、それぞれその対価を得る取引契約で結ばれる契約の場である。
 まさに現代の大規模営利企業はこのような契約の場であるが、通常資本出資者に属する2つの機能 ― 経営管理とリスク負担 ― は組織と称される契約の枠の中で自然に分離した要素として扱われる。所有権者の有する組織の支配権と経営権のうち、経営権を経営者に委譲することにより所有・支配と経営が分離する。いわゆる所有と経営の分離である。
                           

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