渋谷幸夫賞 第1回は衣目成雄氏と竹内啓博氏に決定しました SHIBUYAYUKIOSYO

渋谷幸夫賞 第1回は衣目成雄氏と竹内啓博氏に決定しました

本年1月に設立された「全国公益法人協会実務大賞(渋谷幸夫賞)」の審査委員会が令和5年4月10日に開催され、厳正なる審査の結果、第1回には衣目成雄氏の解説記事「消費税インボイスへの対応策とその課題〜シルバー人材センターの維持・発展のための提言〜」と、竹内啓博氏の特集記事「会計区分間取引の会計処理と財務諸表への表示」が選ばれました。選考対象は本誌令和4年1月号(No.1042)から12月15日号(No.1062)に掲載された特集、解説、連載記事であり、読者からの投票結果をもとに審査委員会が「実務・制度への貢献性」「独創性」「解読性」を審査基準として総合的に評価しました。以下に、受賞記事、出口正之審査委員長の評言、受賞者両名のコメントを掲載します。


【受賞記事及び審査委員長評言】


受賞記事:消費税インボイスへの対応策とその課題
     〜シルバー人材センターの維持・発展のための提言〜
著者  :衣目成雄氏
掲載号 :令和 4 年 7 月 1 日号(No. 1052)


【審査委員長評言】

 消費税インボイスへの対応については多くの法人の悩みどころと思う。本誌でも数多くの解説記事が記載されている。そのような中で、本論文はシルバー人材センターを例に挙げ、「請負」形態でのインボイス制度の影響と具体的な対応策を懇切丁寧に記載している。公益・一般法人は事業内容が多岐にわたるために、このような一つの業種に特化した記事が他の公益・一般法人に読まれるのか、という余計な心配があったが、読者投票では他業種の法人からの支持が多く、具体性を持った解説方法の優位性に審査委員一同大いに刺激を受けたものである。本誌の今後の編集方針にも影響を与えた、渋谷賞に相応しい論説である。



受賞記事:会計区分間取引の会計処理と財務諸表への表示
著者  :竹内啓博氏
掲載号 :令和 4 年 2 月 1 日号(No. 1043)


【審査委員長評言】

 公益・一般法人は収入が年会費等に依存することが多く、年間を通じて満遍なく入ってくるわけではない。また、収益・費用を按分しなければならなかったり、法令に基づき収益事業の利益を公益目的事業に振り替えたりしなければならない。その結果、会計区分間の取引はほとんどの法人で必然的に発生するものと考えられる。しかし、これらは「公益・一般法人」に特有なものであり、企業会計に依拠することが少なくない万巻の解説では必ずしも十分な記載がない。本稿は、①一時的な会計区分間の資金貸借、②共通収益・費用の配賦、③会計区分間の損益振替の可能性、内訳表の記載方法及び法令上の注意事項等を解説した渋谷賞に相応しい論説である。



受賞者コメント

 この度は、渋谷幸夫賞の創設に際し、栄えある第1回目の大賞を賜り大変光栄に存じます。審査委員の皆様、ご投票いただいた読者の皆様、そして賞に携わる全ての方々にお礼申し上げます。
 この記事が生まれたのは、大阪でのセンター創設の際、その相談を母方の祖父が門前払いせず私の父へ指示、その創設に父が尽力した後、公益法人担当マネージャーである氏原謙一が主となって約30年間、センターの支援に努めてきたからこそです。
 私も公益法人に携わってまだ15年弱、皆様のお役に立てるよう、この栄誉を励みにより一層頑張っていきたいです。

【衣目成雄(ころめ・なるお)プロフィール】
公認会計士・税理士。大手監査法人を経 て平成21年に父の主宰する衣目公認会計 士事務所に入所。
平成30年より所長。 日本公認会計士協会近畿会非営利会計委 員会公益法人専門委員会委員等、各種公職役員を歴任。

受賞者コメント

 この度は第1回「全国公益法人協会実務大賞(渋谷幸夫賞)」という名誉ある賞を賜り、身に余る光栄に存じます。審査して下さいました審査委員会の諸先生方とこの度の選考に関わられたすべての方々に謹んで御礼申し上げます。
 賞を頂いた記事は公益・一般法人の実務担当の方々向けに「会計区分間取引の会計処理と財務諸表への表示」を解説し区分経理における留意点を記したものです。読者の皆様の経理実務に多少でもお役に立てたのであれば幸甚です。
 受賞は実務家向けに記事を寄稿する際に編集に携わって頂いた多くの方々のお力添えによるもので深く感謝申し上げます。今回の受賞を励みに、非営利法人の会計実務の円滑な遂行の一助となるよう実務に取り組んで参ります。今後ともご指導のほどお願い申し上げます。

【竹内啓博(たけうち・ひろよし)プロフィール】
1993年早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。公認会計士・税理士。朝日監査法人(現有限責任あずさ監査法人)を経て現在、公認会計士・税理士竹内事務所代表。専門分野は公益・一般法人、学校法人、国立大学法人及び独立行政法人などの非営利法人。